わたしたちの取材風景 すべて読む 2024.12.10 わたしたちの取材風景 小さなベーカリーの大きなこだわり♡赤穂の『Nanaパン』🍞✨ 写真好き Y.A. 記事へ 2024.12.02 わたしたちの取材風景 潮風香る絶景ビーチで、冬の味覚「牡蠣」とキャンプを満喫 写真好き Y.A. 記事へ
【特集記事】壱枚乃絵
見習いR.O.
ゆったりとした時間が似合う、青きグラデーションのカフェ
Slow time × Sea
壱枚乃絵(いちまいのえ) 海辺のテラスカフェ
語る人 店長 岡林俊輔さん
「海のそばに店を出したい」というオーナー夫妻が思い描いた、静かな青の世界。2021年11月にオープンした『壱枚乃絵 海辺のテラスカフェ』では、目の前に広がる海と空の青いグラデーションがゆったりとした時間をつくりだしてくれる。毎日、そして1日見ていても飽きないと語る岡林店長が、たおやかな赤穂の海の魅力を教えてくれた。
遮るものが何もない、海と一体化できる空間
ガラス壁の奥に広がる瀬戸内海のまばゆい海景色。2021年11月に誕生した「壱枚乃絵 海辺のテラスカフェ」は、訪れた誰もがその絶景に息をのむ。ココロがキュンとなる景観は、テラスにでるとさらに感動が高まる。180度に広がる瀬戸内海がキラキラと輝き、天気の良い日には明石海峡大橋や淡路島、小豆島、四国まで見渡せる。
テラスにひかれた水路はエッジオフのインフィニティな造りで、海や空と一体化して無限の広がりを感じることができる。海と空が織り成す青いグラデーションに、視界までもブルーに染まってしまいそうだ。
店内のどの席からも空と海を一望できる設計 水路を彩るコバルトブルーのタイルが海や空との一体感を高めている
さまざまに変化する海が圧巻
「海って、ずっと見ていられるでしょ」と語るのは、店長の岡林俊輔さん。
朝9時の開店時は太陽の光が店へ一直線に伸び、陽光のパワーがカラダに染みわたっていくかのよう。午後、太陽が高くなるにつれ、海の色はだんだんと濃くなり、穏やかな海面がキラキラと輝きだす。やがて夕刻に向かうにつれシックな濃紺の海に装いを変え、ちょっとセンチメンタルな気分になったり、静かに気持ちが落ち着いたり…。
「僕も仕事がなければ、ぼぉ~っと日がな一日座っていたい」と岡林さんは笑う。刻々と表情を変えていく海の景色に、毎日ここで働く岡林さんでさえ、時間を忘れて見入ってしまうらしい。
「天候や時間帯によって、海は様々に変化していきます。異なる表情の海に出会うため、繰り返し訪れるお客様もいらっしゃいますよ」。
他府県からわざわざ足を運ぶ観光客も、そして赤穂の海に慣れ親しんだ地元の人も、ここから眺める海は特別感がいっぱい。海と空のブルーが静かに溶け合い、赤穂の海の穏やかな美しさを再認識させてくれる。
店長の岡林俊輔さん。赤穂での暮らしは「瀬戸内の新鮮なお魚を楽しめることも大きな魅力」
生まれ育った赤穂に帰ってきた
この店は赤穂市の東、たつの市にある自家焙煎珈琲専門店「壱枚乃絵」の2号店にあたる。
「もともとは赤穂で生まれた珈琲店だったんですよ」とお店のヒストリーを岡林さんが説明してくれた。
珈琲好きなオーナー夫妻が「壱枚乃絵」を創業したのは1977年。当初は地元・赤穂市新田、ロードサイドでの営業だった。1989年にたつの市の山あいへ移転し、山々に囲まれた自然の中で楽しめる、こだわりの珈琲や手作りスイーツが評判を呼ぶ。やがてオーナー夫妻は、「山の景色だけでなく、瀬戸内の素晴らしい海景色を見ながら、珈琲を飲んでいただきたい…」という思いをふくらませていく。
「オーナー夫妻は赤穂の生まれ育ちなので、海が大好きなんですね。自分達がココならばと満足できる景観を求め、岡山の牛窓や淡路島など、さまざまな海辺の物件をめぐりました。そうして2年の年月をかけて、ようやく今の場所を探し当てたんです」とオーナーの“海辺の店”への思い入れを懐かしむ。
岡林さん自身も赤穂の出身。海がすぐそばにあることは当たり前すぎて意識さえしなかったが、いざオーナー達と共に海辺の物件を探し始めると、なかなか条件にあうものが見つからない。そんななか、丸山海岸の一角にあった別荘地の空きを知り、すぐに契約。こんなにも素晴らしいロケーションが手に入ったのはきせきだと言う。
手に入れた建物を自分たちの手で丁寧にセルフリノベーションし、2021年11月に待望のオープンを迎える。「訪れる人みんなに、この絶景を楽しんでほしい」というオーナーの思いから、テラス席のみならず、店内のどの席からも爽快な海ビューを楽しめるようになっている。
理想の地を探しまわり、生まれ育った赤穂の地で理想のロケーションと出会う 壁の張り替えやテラス席なども、自分たちで手掛けた 海や空と馴染みのいいテーブルウェアを使用 景色の美しさを大切に、お皿やカップはシンプルなデザインにものをチョイス 本店自慢のメニューほか、ここでしか頼めない限定メニューも多数
珈琲の甘い余韻が幸せな時間を彩る
お店こだわりの珈琲は、良質な生豆を世界中から厳選し、豆の魅力をしっかりと引き出せる直火式の釜で自家焙煎している。豆の仕入や焙煎、ローストチェックを行うのはすべて店長である岡林さんの役目だ。生豆の仕入れは豆の状態をしっかり確認し、試作焙煎や試飲を繰り返し行い、納得のできる珈琲豆だけを買い付ける。お客様が10人いれば10人とも味の好みが異なる、それが嗜好品である珈琲というもの。その人が美味しいと思える珈琲を提供するには、まず自分達が心から美味しいと自信をもっておすすめできるものに仕上げること。ブラックでも、砂糖を入れても、ミルクを入れても、どんなカタチでも、美味しいと思ってもらえる味を意識しているという。
実は岡林さんはずっと珈琲にはミルクと砂糖をたっぷり入れなければ、飲めなかったとか。偶然、オーナーが淹れる珈琲と出会い、その甘さに感動する。コクのある甘さ、丸みのある心地よい口当たり。以来、珈琲はストレートで飲み、豆本来の特徴を楽しむようになる。自身がお店の珈琲の味を背負うようになり、珈琲専門店の名に恥じぬよう、皆に美味しいと喜んでもらえる珈琲を提供していきたいと話す。
「素材、焙煎、抽出、全てにこだわりをもって丁寧に取り組むことが美味しい珈琲への道のり」と岡林さん。珈琲はブレンドやシングルほか、カフェ・モカやカフェ・オーレ、キャラメル・マキアートなども 『壱枚乃絵ブレンド530円』。3種類の豆を独自の配合でブレンド。飲んだあとの甘味の余韻が心地いい
頬張るだけで幸せ!ふわふわ食感のパンケーキ
インスタ映えするスイーツメニューも見逃せない。なかでも「海辺のテラスカフェ」をオープンさせるにあたり、オーナーの奥さんが試行錯誤してレシピを完成させたパンケーキが評判だ。その優しげなビジュアルからふわふわの食感が伝わり、「早く頬張りたい!」と思わせてくれる。オーダー後に20分かけてじっくり焼き上げた生地の、口のなかでとろける食感はぜひ体験したいもの。ハチミツや季節のフルーツなど、様々なトッピングが施されたものが常時5種類そろい、味のバリエーションも豊か。
海を感じながら楽しむパンケーキは最高の味わい 『壱枚乃絵 自家製プリン750円※数量限定』。昔懐かしい、しっかり食感のプリン。カラメルソースの濃厚な甘さが珈琲とも相性抜群
旅も日常も交差する、まちの一枚の絵
今後は、西側に続く丸山県民サンビーチのキャンプ場を利用する人達向けにテイクアウトメニューも提供していきたいと語る岡林さん。
「美味しい珈琲を飲んでホッとしたいと思ったときに、一番に思い出してもらえる場所にできたらいいなと。この町に住んでいる地元の人も、遠くから来た人も、ふらっと立ち寄ってもらえたら嬉しいですね」。
店内やテラス席でゆっくり過ごす観光客もいれば、地元のファミリーやカップル、仕事途中に立ち寄った人もいる。『壱枚乃絵』はそんな風に非日常な旅の日も日常も交差して、さながら一枚の絵のごとく、ぴったりとおさまる場所。穏やかな海の風景に癒やされに、今日もいろいろな人がここをめざしてやってくる。
テラス席の拡張、テイクアウトメニューの開始など、「やってみたいことはいっぱいある!」と午後の海のように目を輝かせる岡林さん 今は、たつの店で焙煎した豆を使っているが、夏には各店で焙煎できるよう準備を進めている お土産用に自家焙煎した珈琲豆やドリップパックも販売
Sustainable
オーナーの珈琲の味をサステナブル
テラス席に併設されたコンテナには、15㎏もの生豆を焙煎できる巨大な焙煎機が鎮座。焙煎機は、機械いじりが好きなオーナーが設計したという。「生豆の温度を確かめ、焙煎機の温まり具合を調整し、豆を焼く。生豆の味も、温度も、湿度も、焼き具合も、毎日ちょっとずつ異なる。まだまだ未知の世界、これでいいというゴールはありません」と真剣なまなざしの岡林さん。珈琲に精通していたオーナーの技や味を引き継ぐべく、日々ベストな答えを追求している。
基本データ
●壱枚乃絵 海辺のテラスカフェ
兵庫県赤穂市尾崎字丸山2300-3
0791-56-6028
Webサイト:http://www.fiac.co.jp/seaichimai/index.html
9:00~17:00(LO16:30、 Pan cake LO16:15)
Morning 9:00 ~11:30、Lunch 11:30 ~14:00 、Pan cake 14:30 ~17:00
水曜定休(祝日の場合は翌日休業)
見習いR.O.
若輩者ですが、頑張ります👍